1939 年に住友家当主であった 16 代住友吉左衞門が境川の河岸段丘上に立てた木造住宅で、設計は佐藤秀三。昭和モダニズム感溢れる和洋折衷の建物で、境川に向けた大きな曲面ガラスを備えた半円形の部屋や 2 つのサンルームなど、随所に開放感が溢れる。2004 年に重要文化財指定されるも、2008 年の修復工事中の失火により焼失。現在の建物は 2016 年に再建されたもの。
貿易商・木下建平氏が 1912 年に別荘として建てた木造 2 階建・スレート葺・下見板張の建物で、設計は小笹三郎と推察されている。日本最初期のツーバイフォー工法の建物で、関東大震災にも耐えた。玄関左右の張り出し部分が印象的。
瑠璃瓦を思わせる青い瓦とクリーム色の外壁のコントラストが印象的な洋館で、設計は渡辺栄治。当地 (前田家鎌倉別邸) は前田家 15 代・利嗣が購入、現在の木造及び RC 造 3 階建の建物は 1936 年に 16 代・利為が改築したもの。内部は写真撮影禁止、3 階は非公開、1 階は改築箇所多数と、建物鑑賞の観点ではやや残念。有形登録文化財としての登録名称は「鎌倉文学館本館」。
富士見橋前の小路を登ると辿り着く景観重要建造物。木造二階建瓦葺・和洋折衷様式の数寄屋造りの建物で、三井物産常務取締役だった藤瀬政次郎の夫人・秀子の別荘として 1934 年に建てられた。現在の名は、後に東京大学教授の脇村義太郎が購入したことに因む。残念ながら通常は外観のみの公開。
1930 年に建てられた和風住宅の増築部であるハーフティンバー様式の建物。内部公開はしておらず、外観のみ見学可能。
1926 年起工、1928 年完成。戦前に多摩川から川崎市内を縦断する幅員 33-40m の運河開削の計画があり、多摩川と運河の仕切りとして建設された。運河計画の中止により、220m ほど開削された運河は現在も残る 80m の船溜まりを残して埋め立てられ、現在は千葉方面からの砂利の陸揚げ施設として使われている。側面に川崎市章、柱上部に当時の川崎の特産品だった梨・桃・葡萄の彫刻が配されている。
コロニアル様式の瀟洒な洋館。外壁はドイツ下見板張り。創建当時の屋根は天然スレート葺だったが、現在はカラー銅板平葺。1955年には行幸された昭和天皇の休憩所としても使われた。元々は現在の横浜ゴム平塚製造所内(追分2-1)にあったが、2004年に現在の場所に移築。スタッフによる解説あり。南ベランダに面する展示室の上げ下げ窓を実際に操作可能なのが貴重。
横須賀鎮守府司令長官の官舎として 1913 年に建設。設計は日本人で初めて英国公認建築士となり、呉鎮守府司令長官官舎や静嘉堂文庫を手掛けた櫻井小太郎。戦後は米海軍に接収され、内外装共に多数の改修が加えられている。横須賀地方総監部の現役の施設であり、現在でも内外高官・要人の接待所として使われていることから、一般公開は桜の時期の数日のみ。
1925 年に辻堂に建てられた和洋折衷の別荘建築。設計はフランク・ロイド・ライトに師事した遠藤新で、低く抑えた軒と庇で水平なラインを強調するプレーリースタイル。施主の近藤賢二は北海道の牢獄教戒師、台湾総督府勤務 (後藤新平秘書官として) を経て実業界入りし、様々な会社を経営した人物。
1908 年に福島浪蔵邸として建てられた、スレート葺木造 2 階建・寄棟造の建築。関東大震災を生き延びた貴重な建物だが現在は使われておらず、一般公開もされていない。
豪商・柳下 (やぎした) 氏が大正年間に建てた邸宅で、日本家屋と洋館、そして倉が複合した構造を取る。内部には往時の暮らしを思わせる品々が展示されており見応えがある。黒漆喰の倉の大扉や、畳敷きの洋間も興味深い。入館無料。毎月第 2・第 4 火曜日は休館。
J.H.モーガンの設計で 1930 年に建設。山手公園や横浜公園と共に「旧居留地を源として各地に普及した近代娯楽産業発展の歩みを物語る近代化産業遺産群」として近代化産業遺産登録済み。その巨大さと、廃墟同然の姿に圧倒される。
1 階部分の切妻屋根を貫いて延びる煙突と、2 階の袴腰屋根 (切妻の妻側を斜めに切り落とした形状の屋根) が印象的な木造 2 階建の洋館。「旧スウェーデン領事公邸」の名は、1921-23 年に当地に住んでいたスウェーデン系会社の日本代表である E. Mendelson が同国の名誉領事でもあったことに由来するらしいが、1927 年築説もあって来歴の詳細は不明。横浜共立学園所有で内部は非公開。
関東大震災復興時の外国人向け住居として、1933 年に山手 67A 番地に建てられた木造平屋・下見板張の洋館。老朽化した公園管理棟の代替として 1986 年に当地に移設。現在見学可能なのはホールと、展示室に転用されたかつての食事室のみ。正面の半切妻屋根が特徴的。
ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使を務めた外交官・内田定槌の邸宅として 1910 年に渋谷の南平台に建てられた木造 2 階建・下見板張の洋館で、設計は J.M.ガーディナー。1997 年に当地に移設。
オーストラリアの貿易商バウデン氏の邸宅として、関東大震災後の 1925 年頃に山手町 45 番地に建てられた木造 2 階建の洋館。1991 年に当地に移設。震災の教訓から防火を意識したモルタル吹付けの白い外壁と、緑の窓枠のコントラストが印象的。
1862 年に山下居留地 80 番地に建てられた横浜天主堂がルーツ。1906 年に当地に移転。現在のネオ・ゴシック式 RC 造平屋の聖堂は 1933 年築で、設計は山手教会信徒でチェコ人のヤン・ヨセフ・スワガー。緑青色の屋根を持つ高い鐘楼と、正面に配された尖頭アーチのステンドグラス窓が印象的。
スイス人貿易商フリッツ・エリスマンの邸宅として、1926 年に建てられた 2 階建木造の建物。設計はフランク・ロイド・ライトに師事したアントニン・レーモンド。
イギリス人貿易商バートラム・ロバート・ベリックの邸宅として、1930 年に建てられた 2 階建木造・スパニッシュ様式の建物。設計は旧横浜競馬場一等馬見所で有名な J・H・モーガン。
関東大震災の復興事業の一つとして、1927 年に建てられた木造 2 階建の外国人向けアパートメント。設計は隣のえの木ていと同じ朝香吉蔵。4 つの同一形式の住戸が中央部分の玄関ポーチを挟んで対称的に向かい合い、上下に重なる構成。
ノルマン様式とゴシック様式が混在した聖堂で、設計はベーリック・ホールや横浜競馬場一等馬見所を手掛けた J.H.モーガン。1901 年にジョサイア・コンドルの設計で建てられたが関東大震災で倒壊した 2 代目の建て替えとして 1931 年に竣工。横浜大空襲で内部は消失するも 1947 年に修復。
元々は 1909 年に本牧に建てられた旧中澤邸の洋館部分。現在の場所には 1977 年に移転。横浜に現存する洋館の中では唯一明治時代に建てられたものであり、市内に唯一残る和洋併設型の西洋館。
1926 年にアメリカ人ラフィン氏の住宅として建てられた、三連アーチと赤い屋根が印象的なスパニッシュスタイルの洋館。設計は J.H.モーガン。個人的には夕方、西日でややオレンジに色づいた姿が好き。
1937 年に英国総領事公邸として建てられた地上 2 階、地下 1 階の RC 造の建物で、1969 年に総領事が引き上げるまで公邸として使われていました。日本大通りにある横浜開港資料館がかつての英国総領事館なので、総領事はここから通勤してたんですね。
元々は 1871 年から日本で営業を開始したG・ストラウス商会の商館で 1938 年に竣工。設計は横浜出身で、第百銀行横浜支店 (旧東京三菱銀行横浜中央支店)、川崎銀行横浜支店 (現在の損保ジャパン日本興亜横浜馬車道ビル)、川崎銀行本店 (明治村に移築済み) などを手掛けた矢部又吉。
1896 年に建てられたが関東大震災で倒壊した初代領事館の建て替えとして 1930 年に建てられたもの。設計は 1927 年に札幌から横浜に移住し、カトリック神田教会などを手掛けたスイス人建築家マックス・ヒンデル。1947 年に不審火で消失してしまい、現在は RC 造だった 1 階部分のみが遺構として残る。
1928 年に日本綿花株式会社横浜支店の事務所棟として竣工。戦後は進駐軍による接収を経て、1960 年から関東財務局横浜事務所として利用。東隣の建物は日本綿花横浜支店の倉庫棟で、両棟は一体になっていました。設計は渡辺節。
ヘボン式ローマ字で著名な J.C.ヘボンゆかりの教会。1874 年に横浜居留地 39 番で開かれ、何度かの移転を経て当地に移る。現在の建物は関東大震災で倒壊した前教会に替えて 1926 年に再建された RC 造。バラ窓と列柱を配した尖頭アーチのゴシック調のファサードと、交差点角に立ち上がる鐘楼が目を引く。
1928 年に日本綿花株式会社横浜支店の倉庫棟として竣工。戦後は進駐軍による接収を経て、1964 年から労働基準局庁舎として利用。横浜市認定歴史的建造物のプレートは入口脇に掲げられています。西隣の建物は日本綿花横浜支店の事務所棟で、両棟は一体になっていました。
1911 年に三井物産横浜支店として建てられた建物で、当時の名前は横浜三井物産ビル。設計は横浜第二合同庁舎も手掛けた遠藤於莵。日本で最初の全鉄筋コンクリート造の建物で、関東大震災にも耐えて現在も現役。外壁は化粧煉瓦タイル張りだが腰回りは花崗岩張り。日本大通りに面した玄関及びその右側は 1927 年に増築された部分。
露亜銀行 (Russo-Asiatic Bank) は露仏同盟を契機として設立された露清銀行 (Russo-Chinese Bank) と北方銀行 (Banque de Nord) が合併して出来たロシア系銀行。1926 年に露亜銀行が清算された後は横浜市瓦斯局、ドイツ領事館、横浜入国管理事務所、警友病院などに利用されてきた建物。
横浜商工奨励館時代の貴賓室で、関東大震災後の横浜の復興状況の視察に来られた昭和天皇が休息された部屋。この 1929 年 4 月 23 日は横浜商工奨励館時代の開館記念日と定められた。
日本大通り側に面する低層部は 1929 年竣工の旧庁舎 (旧横浜地方裁判所) を復元したもの。旧庁舎は横浜市認定歴史的建造物で RC 造 3 階建、スクラッチタイルの外壁を纏った重厚な建物。高層の新庁舎は 2001 年築。
本館は関東大震災後の 1927 年に横浜の迎賓館として建てられた SRC 造 5 階建の建物。設計は後に服部時計店 (現・銀座和光) や第一生命館を手かげた渡辺仁。
市内最古の煉瓦建築で、元は 2 階建。紅茶やダイナマイトを扱っていた J. P. モリソンの事務所兼住居として 1883 年に建てられたもの。関東大震災で大部分が倒壊したが、被災後もヘルム兄弟商会が 1978 年まで所有管理していた。入口アーチのキーストーンは建築時からのもので、「四十八番」と日本語でも示されている。現時点で見学可能なのは外観のみ。
旧館部分はかつての横浜商工奨励館。関東大震災で罹災したアメリカ領事館跡に横浜市建築課の設計で 1929 年に建てられた。3 階にはかつて昭和天皇も休息されたという貴賓室が残されており、見学可能。
RC 造 4 階建の建物で 1929 年竣工。設計は逓信省の建築家で横浜出身の中山広吉。横浜開港資料館の館報第 81 号によれば、玄関脇の大きな石球は、下の台も含めて一体の石から切り出して磨き上げたものだという。
1922 年にイギリス系商社バターフィールド & スワイヤ商会の事務所として居留地 7 番地に建てられた洋館であり、横浜で唯一残る関東大震災前の外国商館 (但し、現在残っているのは 1/3 程度)。煉瓦造りに見えるが鉄筋コンクリート構造。1995 年のドラマ『正義は勝つ』では主人公・高岡淳平の住居として使われた。
毎月 15 日の一般公開日には日頃見られない講堂や 1 号会議室も公開されるが、土日祝日の場合は翌平日にずらされるということで平日限定。辰野式の重厚な姿から大きく見えるが、「ジャックの塔」こと時計塔の高さは 33m で、「クィーンの塔」こと横浜税関 (51m) に比べると 20m 近くも低いのは意外。
1930 年に江商横浜支店として建てられた本町旭ビルのファサードを保全活用した建物。本町旭ビルは RC 造地上 5 階、地下 1 階の建物だったが設計者は不明。建物隅部に配されたテラコッタが印象的。
旧川崎銀行横浜支店の一部を残して改築されたビル。元は 1922 年築の RC 造地上 3 階、地下 1 階のネオルネッサンス様式の建物で、隣の横浜正金銀行本店を設計した妻木頼黄の弟子・矢部又吉の設計。重厚感が出るため銀行建築で好まれた、敢えて表面を加工しない状態の石材を積み重ねる「ルスティカ積み」という技法を 1 階部分に採用。夜はライトアップされる。
現在の会堂はゴシック様式の鉄筋コンクリート造 3 階建で、1933 年に献堂された。設計は宮内省の建築技師だったクリスチャンの雪野元吉で、雪野の作品では唯一現存するもの。
1931 年に三井銀行横浜支店として建設された RC 造 2 階建の建物で、設計はアメリカのトロウブリッジ・アンド・リビングストン建築設計事務所。正面 4 本、側面 2 本のイオニア式オーダーが銀行らしい重厚な印象を醸し出す。上部窓の下の壁面にはギリシア雷文が帯状に彫られている。
横浜正金銀行本店として 1904 年に完成。妻木頼黄によるネオ・バロック様式の建物。関東大震災を生き延びた横浜の近代建築は、実はここと横浜市開港記念会館 (ジャックの塔) のみ。
1928 年築、横浜三塔の一つ「キングの塔」。関東大震災で被害を受けた三代目県庁舎の代替として建てられた帝冠様式の建物で、設計は小尾嘉郎の案に基づき成富又三が実施。ぱっと見気づきにくいが、中央の高塔が瓦屋根。
1936 年に東京海上火災保険ビルとして竣工した地上 4 階、地下 1 階の RC 造のビルで、設計は木下益治郎。アール・デコ調のシンプルなスタイルで、交差点に面する角を切り取った外観が印象的。
旧館は英国総領事館として、資材全てを英国から取り寄せて 1931 年に建てられたもの。正面玄関はコリント式。正面玄関や通用口の上部にはかつて英王室の紋章が掲げられていた。
1934 年に川崎第百銀行横浜支店として建てられた、古典主義様式の RC 造 2 階建のビル。設計は横浜生まれの矢部又吉。イオニア式の大オーダーが目を引くが、現在残されているのはファサードのみ。川崎第百銀行は 1878 創業の第百銀行と 1880 年創業の川崎銀行の合併行で、後に三菱銀行と合併。
坂倉準三がモダニズムを徹底的に追求した最先端の建物として 1959 年に竣工させた建物で、同年に建築業協会賞も受賞。5 階までの低層階と 10 階までの高層階に分かれた姿と、1 階の広いピロティが印象的。ただ、流石にくたびれた感じは否めず、館内も昭和の懐かしい空気が漂う。B1F には着席可能な広い喫煙所あり。
1929 年に安田銀行横浜支店として建てられた、新古典主義様式の RC 造 2 階建のビル (安田銀行は戦後の財閥解体で富士銀行に改称)。ほぼ全面を覆うルスティカ積みの外壁とドリス式の大オーダーが醸し出す重厚な空気がいかにも銀行! という感じ。銀行としての営業は 2001 年で終了し、現在は東京藝術大学大学院馬車道校舎として利用。
横浜銀行集会所は 1936 年に、横浜に本支店を置く銀行の親睦会所として設立されたもの。設計は大熊喜邦で、現在は横浜銀行協会として使われている。一本の柱で支えられた車寄せや六角形の窓などが特徴的で、アール・デコっぽい車寄せの装飾がエレガント。4 階部分は 1965 年の増築なので、建物全体としてはやや違和感あり。
大倉商事横浜出張所として 1929 年に建てられた RC 造 3 階建、スクラッチタイル張の建物。設計・施工は大倉土木。海洋会館の建物としては 1959 年から。「海洋会館」の丸っこいフォントがかわいい。
低層部は 1929 年に建てられた第一銀行横浜支店の建物で、設計は台湾銀行本店を始めとして多数の銀行を手掛けた西村好時。内部は天井が高くて荘厳さを感じさせる空間。
神奈川県産業組合館は 1938 年竣工の RC 造 3 階建。シンプルでモダンな外観を持つ近代オフィスビルの先駆け。産業組合は 1900 年交付の産業組合砲に基づく協同組合で、現在の農協の母体の一つ。現在は JA グループ神奈川ビルにファサードだけ残して組み込まれているが、内部は「JA ギャラリー」として金庫扉などが公開されている。
横浜では開港期から生糸や絹製品を扱うインド商人が山下町に商館が軒を連ねていたが、関東大震災で壊滅的な被害を受け、28 名が犠牲となった。横浜市民による救済への感謝、そして犠牲になった同胞の慰霊のため、横浜インド商組合が 1939 年に市に寄贈した建築物。イスラム寺院のような丸いドームを持つ市内唯一のインド関係の遺構で、中心にインド式の水飲み場が設置されている。
横浜三塔の一つ「クイーンの塔」で 1934 年竣工の鉄骨鉄筋コンクリート構造、高さ 51m は完成当時の横浜で最も高かった。すぐ横にある県庁本庁舎より高いのは、資料展示室によれば「国の施設が県の施設より低いのはいかがなものか」という理由らしい。
日本郵船創立 50 周年を記念して 1936 年に建てられた、コリント式の 16 本の大オーダーが印象的な重厚な建物。設計は和田順顕。2003 年の大規模改修で建築時の状態に復元された建物内部も見応えあり。入館料は 400 円だが日本郵船氷川丸とのセット券は 500 円 (セット券は有効期限なし)。
低層部は元々当地にあった横浜生糸検査所の建物。関東大震災後の 1926 年に遠藤於菟の設計で再建されたものだが、現在の建物は 1990 年に創建時の姿に解体・復元されたもの。正面玄関最上部には桑の葉をあしらった紋章が掲げられている。
1897 年に完成した第二号船渠に続いて、1899 年に完成。係留されている日本丸のサイズから見ても分かる通り大型船舶に対応できないことから、ドックとしての役割は 1983 年に終わりました。ちなみに第三号船渠はみなとみらいの造成時に早々に埋め立てられています。
説明板にある通り、ドックと海を仕切る扉の役目を果たすものですが、これだけだとピンとこない人も多いハズ。日本丸が係留されている第 1 号ドックには海とドックを仕切っている扉船が現役 (?) で働いているので、そちらを見るとイメージが付きやすいかも。
1973 年まで使われていた、日本に現存する最古の商船用石造ドックである旧横浜船渠株式会社第二号船渠 (重要文化財) をレストラン街として改修したもの。とは言え妙な改造が加えられたわけではなく、石造りの迫力が実感できる。扉船の左側には「竣功 明治廿九季十二月」と示された銘板が残る。
竣工は 1932 年。辰野金吾の弟子で、台湾総督府庁舎の原案や日本銀行本店別館を手掛けた長野宇平治による設計。長野最後の作品で、「ギリシア以前の建築様式」を意味するプレヘレニック様式。エントランスホールから見上げる高さ 20m 超の吹き抜けは圧巻。吹き抜けを彩る柔らかな黄色の光は上部に配された薄褐色のステンドグラスによるもの。
横浜税関の新港埠頭保税倉庫として 1911 年 (2 号倉庫) 及び 1913 年 (1 号倉庫) に竣工。設計は横浜正金銀行本店も担当した妻木頼黄。
市電など全く興味がなくても、レトロ好きなら必ず来るべき場所。板張りのレトロな車輌内はほっと落ち着ける空間。車輌内外に掲げられているこれまたレトロな広告も当時の空気そのままで堪らない。書架に並んでいる昭和 30 年代の時刻表を眺めつつ、往時に想いを馳せるのもまた良し。
1930 年築の RC 造 3 階建のモダニズム建築で、設計は川崎鉄三。ピンクの外壁と白タイル上に配された窓、それらを仕切る赤い縁取りが印象的。ジャパンエキスプレス (旧名はニューヨコハマエキスプレス) は移民乗船斡旋や船客送迎を行っていた会社で、かつてはここで売られていた乗船券が海外への出口だった。現在は宇徳及び商船三井ロジスティクスが事業を継承。
横浜中央電話局長者町分局として 1925 年に建てられた RC 造 2 階建の建物で、設計は上浪朗。交差点に向いた角に効いた曲面と、その上部に配された縦長の大きな窓が目を引く。
1895 年に長浜検疫所の建物群のひとつとして建てられたが関東大震災で倒壊、その翌年の 1924 年に再建。設計は河合政市。現在の建物は 1997 年に補修されたもの。かつてここから先はすぐ海で、沖合に停泊中の外国航路の舟に小舟で乗り込み、伝染病患者の有無を調べていた。野口英世は 1899 年に 5 ヶ月間、検疫医官補として当施設で検疫業務に従事。
2 つ並ぶ衛兵詰所は RC 造銅板葺。タイル張りだが腰回りだけが濃色のスクラッチタイル張りで、色彩のアクセントになっている。「明治末から大正初期の建設」とされているが、関東大震災からの復興予算に基づく 1929 年の予算で建てられたとの説もあり。スクラッチタイルの普及を考えれば、現存する詰所建物の建築時期は震災後説が妥当か。
関東大震災の翌年である 1924 年に俳優・山形勲の母が鎌倉初のホテルとして建てた山縣ホテルが前身。戦後は米軍による接収を経て、富士重工業の社員寮にも使われたという。上げ下げ窓が並ぶ本館建物は 1924 年当時からのものなので、現在でもバス・トイレ共用。芥川龍之介と岡本かの子の出会いの逸話が残るが、それは震災前に当地に建っていた料亭「平野屋」支店 (関東大震災で倒壊) の貸間での話。
1924 年に富士製紙社長・村田一郎の別邸として建てられた洋館付住宅で、1952 年からリゾートホテルとして利用。木造 2 階建・スレート葺の洋館部分は旧村田家住宅洋館として登録有形文化財指定。
1927 年に鎌倉銀行の由比ガ浜出張所として建てられたレトロな建物。鎌倉銀行は 1941 年に横浜興信銀行となったため、正面入口には「鎌倉銀行」の 4 文字を取り除いた跡が今でも残る。三叉路に建つためかなり細長い造り。
現駅舎は 1940 年築で、現在トイレがある場所がかつての 1 番線。1 番線はお召し列車専用で、かつてはホーム上に貴賓室もあったという。階段がないことで有名で、その理由は「軍港への物資積み下ろしの利便性」や「行幸時に天皇が見下ろされないようにするため」だと伝わる…が、そもそもは当駅が横須賀線の終点として頭端式ホームで設計されたから。ここから久里浜方面は単線であり、結果として階段は不要。
1932 年に藤澤カントリー倶楽部のクラブハウスとして建てられた RC 造 3 階建、スパニッシュ瓦葺の南欧風の建物で、設計はアントニン・レーモンド。終戦後は米軍が接収して司令部となった。
1918 年に海老名村役場庁舎として建てられたものを当地に移設・復元したもの。木造 2 階建・桟瓦葺・ドイツ下見張の郡役所様式の建物で、施工は海老名村国分の大工・藤井熊太郎。現在の外壁は白塗りだが、建築当初は青鼠色だった。玄関ポーチのバージボード (飾り破風) と上向きに尖った装飾がお洒落。内部は近代化されているが、階段部分はいい感じに昔日の面影を残す。
1933 年に小田原町図書館として建てられた木造 2 階建・銅板葺入母屋造の建物。同じ小田原城址公園内にある郷土文化館も、元はこの建物で運営されていた。元図書館と言われると納得する内部の造り。
小田原第二尋常高等小学校 (後の城内小学校) の講堂として 1929 年に建てられた木造建築。小田原城の二の丸御殿跡に設けられた小田原御用邸が関東大震災で被災したために小田原町が一部の敷地の払い下げを受け、小田原第二尋常高等小学校を当地へと移転した際に建てられた。
横浜生糸検査所 (本舎は横浜第二合同庁舎の低層部として復元) の建物群を利用した複合施設。BRICK South は 1926 年築の附属倉庫事務所で歴史的建造物。BRICK North は B 号倉庫、WHITE は C 号倉庫をそれぞれ新築復元したもの。
礼拝堂は 1937 年に建てられた木造平屋・鉄板葺の建物。下見板張の白い壁と赤い屋根、十字架が載った尖塔、尖頭アーチの玄関などが教会建築としての格式を示すも、そこはかとなく可愛らしい。
川崎鉄三が設計した RC 造 3 階建のオールドビルで、築年は 1931 年頃と伝わる。旧名は「カストム・ブローカー・ビルディング」。2 階に登る階段の雰囲気が渋くて、今までよく残っていてくれたと感動する。
1930 年に「インペリアル・アパートメント」という外国人向けアパートとして建てられたモダニズム建築で、設計は川崎鉄三。戦後は米軍に接収されて米軍将校の住宅となり、この時期に屋上が増築された。水平連続窓の内側はベランダ状の空間。角部分の曲面が印象的。エントランスホールや階段のレトロ感も堪らない。
木造 3 階建、モルタル洗出しの建物は 1925 年築。「五十嵐商店店舗兼主屋」の名で国登録有形文化財として登録。外観は古典様式風だが、内部は土間と上がり座敷という昔ながらの造り。
